琉球大学医学部 システム生理学講座|当教室は排尿生理に着目して、世界的な研究に取り組んでいます。

国立大学法人琉球大学医学部 システム生理学講座

〒903-0215 沖縄県中頭郡西原町字上原207番地
TEL:098-895-1110 FAX:098-895-1403

臨床研究・橋渡し研究

臨床研究・橋渡し研究

研究概要:宮里 実

当講座は、泌尿器科学、ゲノム医科学、産婦人科学、整形外科学、臨床疫学、統計学の専門家との共同研究により、多くの臨床研究、橋渡し研究を実践しています。

夜間頻尿の疫学と生命予後改善を目指した介入研究

「久米島デジタルヘルスプロジェクト(KDHP:2017-2020年)」
食生活の欧米化、車社会の弊害として沖縄県は肥満、生活習慣病発症、平均寿命の凋落が大きな問題となっています。 高血圧、糖尿病、肥満といった生活習慣病と夜間頻尿は深く関連します。 久米島をフィールドとして、ITとヘルスケアを融合した健康増進のための社会実証事業「久米島デジタルヘルスプロジェクト(KDHP)」を行いました。 その中で、排尿パラメーターと身体的パラメーターの関係性の解析を行いました。従来の自己測定による排尿記録(アナログ)に代わり、サイマックス社(東京)が開発したトイレ後付型分析装置(下図)を使用しました。 解析の結果、夜間頻尿が、生活習慣病が未病の段階での超早期マーカーになり得る可能性が世界で初めて証明されました (Int Urol Nephrol. 2021電子版)。 また、夜間おしっこでトイレに起きる(夜間頻尿≧1)、就寝後4時間以内にトイレに起きる(第一覚醒時間短縮)、 すぐにトイレにいきたくなる(膀胱容量減少)がそれぞれ肥満・生活習慣病の危険因子(オッズ比 7.65倍、5.17倍、2.27倍)であることが判明しました(Metabolites. 2022電子版) (日本語要約)。 おしっこで健康チェックが可能となることを意味しています。 健康寿命を延伸させる新たなエビデンスの構築に資する大変意義のある成果です。

夜間頻尿の疫学と生命予後改善を目指した介入研究

骨盤臓器脱のゲノム(遺伝子)解析研究と発症危険因子の同定

骨盤臓器脱のゲノム(遺伝子)解析研究と発症危険因子の同定

骨盤臓器脱は、膀胱、子宮、直腸といった女性の骨盤内臓器が膣から脱出する疾患で、妊娠、出産という女性特有のライフイベントに起因します。女性の合計特殊出生率が日本一を誇る沖縄県においても潜在患者は多いことが予想されます。沖縄県中高年女性の骨盤臓器脱患者のゲノム解析及び患者の疾患情報を基に発症予測モデルを構築し、新たな予防戦略と先端治療の開発を目指します。
本研究は、令和2年度 日本医療研究開発機構(AMED)「女性の健康の包括的支援実用化研究事業―Wise」に採択されました(研究開発実施期間令和2年4月1日から令和5年3月31日)。
引き続き、令和7年3月31日まで継続します。


女性の健康の包括的支援実用化研究事業―Wise

Wiseについて

女性がより良い生涯を送るために必要な健康を提供できるような社会づくりを視野に入れ、人生の各段階に応じて心身の状況が大きく変化する女性のライフステージごとの健康や疾患について、病態の解明と予防、治療に向けた研究開発と実用化を推進する事業です。


1)骨盤臓器脱の遺伝学的背景

オプトアウト


2)骨盤臓器脱患者の疾患レジストリの構築

被験者募集
選択基準 健常女性
①骨盤臓器脱の診断がされていない
②40歳以上の女性である方
希望される方 連絡先
システム生理学講座(098-895-1110、担当 宮里実)

簡単なアンケート(所要時間15~30分)に答えて頂きます。
ただし、担当者が対象外と判断する場合がございます。


⇒「オプトアウト」
⇒「骨盤臓器脱に関する調査へご協力いただいた方へ、ご報告とお願い」

排尿障害と姿勢・バランス能力の関連性について

排尿障害と姿勢・バランス能力の関連性について

排尿障害には、頻尿、尿意切迫、尿失禁といった蓄尿障害(ためる機能)と、残尿、尿閉といった排出障害(出す機能)があります。特に、排出障害においては自分でトイレに行く、下着を下す、排尿姿勢をとるという排尿行動とバランスが重要な役割を果たすことが考えられます。本研究においては、排尿障害を有する患者の座位姿勢の特徴とバランス能力を、客観的指標を用いて明らかにします。そのうえで座位姿勢やバランス能力の改善が排尿障害の改善につながるか、将来的な検証に繋げていく予定です。


選択基準
正常コントロール
①排尿障害を有さない方
②年齢が40歳以上(男女問わず)
希望される方 連絡先
システム生理学講座(098-895-1110、担当 長嶺覚子)

座圧分布計測を行います(所要時間30分)。
ただし、担当者が対象外と判断する場合がございます。
協力頂いた方に、謝礼金1千円をお支払いします。


難治性過活動膀胱に対する半夏瀉心湯の効果の検証

治療抵抗性(薬の効果が少ない)の過活動膀胱の患者さんに対する漢方薬(半夏瀉心湯)の効果を確認する研究です。保険のきかない特定臨床研究のため、薬剤は当方から無償でお渡しします。詳細は、泌尿器科外来 または 主治医にお尋ね下さい。
施行施設:琉球大学病院、ハートライフ病院、ちばなクリニック、那覇市立病院


弾性ストッキング装着による夜間頻尿減少効果に関する介入研究(腎泌尿器外科との共同研究)

「ふくらはぎ」は第二の心臓とも言われています。最近、夜間頻尿の原因として、日中の下肢のむくみが注目されています。夜間就寝することにより心臓にむくんだ体液が移動し、夜間頻尿を引き起こすと考えられているためです。そのため、日中の下肢のむくみが改善できれば夜間頻尿の改善につながることが期待されています。本研究では、下肢のむくみをともなう夜間頻尿患者に薬物治療ではなく、日中弾性ストッキングを装着してもらい、夜間頻尿が改善するか検討するものです。弾性ストッキングは当方から無償でお渡しします。詳細は、泌尿器科外来または主治医にお尋ね下さい。


研究案内チラシ


間質性膀胱炎患者の大脳機能解析

間質性膀胱炎は、頻尿(おしっこの回数が多い)、骨盤痛(下腹部の痛み)、不快感をともなう難病で、いまだはっきりとした原因は不明です。 間質性膀胱炎においては、うつや記憶力障害を引き起こすことが最近報告されています。ストレスが痛みや尿意切迫感(強い尿意)を増強するとされ、緊張の緩和が有効とされています。このことは、間質性膀胱炎が大脳の働きに 何らかの悪影響を及ぼし、逆に大脳の働きの改善が間質性膀胱炎の新たな治療視点になることを意味しています。そこで、間質性膀胱炎患者の大脳の働きを、核磁気共鳴画像法(MRI)を用いて健常者と比較する臨床研究を行います(令和3年5月承認)。


正常ボランティア被験者を募集しています。

選択基準
①18歳以上
②排尿障害を有しない方
※心臓ペースメーカー、人口内耳、体内金属のある方はご参加頂けません。
希望される方 連絡先
システム生理学講座(098-895-1110、担当 上條中庸、宮里実)

撮影するMRIの費用は研究費で賄い、個人負担はありません(予約制)。
所要時間は30分~1時間。
協力頂いた方に、謝礼金1千円をお支払いします。


お問い合わせ

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大学院生を随時募集しています。お気軽にご相談下さい。